嫌職ストレス-5

「長寿の秘訣の第一は、ストレスを溜めないことです」
ストレス解消、病気知らずで楽しく長寿!
-------

花見正樹のストレス・エッセイ

嫌職ストレス-5

女ごころの恐ろしさ-2

 ともあれ、まだ精神的に不安定な上司A氏を癒すべくB子さんはかなり真剣にA氏に密着、そのお蔭で婚約者C君とB子さんとのデートはキャンセルや日延べの連続で相思相愛にヒビが入ったともみられていた。
こうなると、婚約者のC君にとっては他人事ではないから必死に彼女を諫めるのだが、B子さんとしては善意のボランティアだから誰が何を言っても気にしない。婚約者のC訓としては、自分の存在が彼女から遠ざかっているように思えるらしく、必死で彼女に忠告したり怒ったりするが、B子さんの奉仕の精神まで崩すことは出来なかった。
思い余ったC君は、病み上がりA君の直接の上司である私の知人で媒酌人の取締役にご注進、かなり深刻な表情だったらしい。 私の知人もB子さんを呼んで事情を聞いたところ、愛情とは無関係の奉仕との説明に納得して、そのまま放置することにしたと
いう。
それから暫くして挙式を3ケ月後に控えたある日、B子さんは上司のA君に、”お世話”の打ち切りを告げ、さっさとC君の元に戻って新婚生活の設計に専念、これでB子のボランティア活動も終止符を打った。
C君とB子さんの挙式は都内の教会で行われ、純白のドレス姿の花嫁B子さんの嬉々とした晴れ姿には一点の曇りもなかった、と媒酌人を務めた私の友人は言った。
こうして無事に結婚式を挙げたB子とC君の二人は、ヨーロッパ古城巡りの新婚旅行に旅立ったのである。
当然ながら、彼女のボランティアの対象でしかなかったA氏は式にも披露宴にも招かれず、ひょっとしたら完治か、との期待も消滅し、ウツ状態に陥って会社を欠勤し、実家に戻って在宅治療に専念することになり、会社には労災の手続きとかで代理人の弁護士が訪れた。
一体全体、B子さんのボランティアの真意は何であったのか? これは未だに社員だけでなく、A君にもC君にも、この話を持ち込んだ私の知人も分かっていない。ましてや、女心に疎い私などが理解出来るはずがない。
結局、私の知人が連れてきたA君は、私の主宰する「ストレス解消サロン」に通いながら職場にも復帰、心身共に癒えたところで、これも私の経営する「結婚相談所」で十数回のお見合の後、お相手もバツイチ子なしの女性と無事に再婚、上司の取締役とその知人であるý私も招かれた内輪の披露宴で私も一言、お祝いの言葉を述べたが、何を喋ったかは全く記憶にない。